泌尿器科

UROLOGY

泌尿器科の概要

泌尿器科は尿路系と呼ばれる腎臓や膀胱・尿管・尿道などの主に排尿に関連する臓器および生殖器系と呼ばれる精巣や前立腺・卵巣・子宮(卵巣・子宮は本来は産科・婦人科系)などが関与する疾患を取り扱う診療科です。尿路系・生殖器系ともに病気の種類は多岐にわたり、他の診療科との鑑別も非常に重要になってきます。なお、生殖器系は最近の不妊手術(去勢手術・避妊手術)の実施件数が増えたこともあり遭遇する機会は以前と比べると減少しています。

猫は泌尿器系の病気は非常に多く、雄猫に多い尿道閉塞や高齢猫に多い慢性腎不全、季節の変わり目や冬場に多発する特発性膀胱炎(FLUTD)など、当院に受診する猫において診察する機会が非常に多い診療科です。当院では腎結石や膀胱結石・尿道結石・尿管結石など結石に関連する病気も数多く診療しており、特に膀胱結石や尿道結石については積極的に手術を行う機会が増えています。

また泌尿器科で最も重要な臓器の一つである腎臓については、特に猫の高齢化に伴い非常に遭遇する機会が多い疾患になった慢性腎不全や若齢時に発見されることの多い先天性腎疾患など、手術では回復が見込めない病気に多く遭遇しています。腎臓の異常は一般的に多飲多尿や嘔吐、元気・食欲の低下など、他の診療科でも認められるような症状ばかりで特徴的な症状はほとんど認められません。また先天的腎臓疾患や初期の慢性腎不全については無症状のことも多々あり、日常生活のチェックするだけでは病気の判断が困難で、定期検診でお越し頂いたときに病気が見つかるということがよくあります。

定期的な健康診断(血液検査やX線検査・超音波検査など)やちょっとした生活の変化(飲水量が増えた・排尿回数が増えた・排尿痛がある・など)など、一緒に生活している中で気になることがございましたら早めに受診することをお勧めしております。

生殖器系の代表的疾患としては雄犬で多発する会陰ヘルニアや肛門周囲腫瘍・精巣腫瘍・前立腺疾患、高齢の犬猫に認められる子宮疾患(子宮蓄膿症・子宮水腫・子宮内膜症)・卵巣腫瘍・膣疾患(膣ポリープなど)・乳腺腫瘍などがあります。当院では多くの病気において積極的に外科手術(軟部外科)を提案しています。不妊手術を行っていない高齢の犬や猫に関しましては常にこのような病気について注意していただき、気になることやご不安なことがございましたらお気軽に当院までご相談ください。

当院での取り組み

当院では軽度の膀胱炎から重症化しやすい尿道閉塞や腎不全の治療まで幅広く対応しております。特に膀胱結石や雄猫の尿道閉塞(会陰尿道瘻)につきましては積極的に手術を行っております。また泌尿器科で最も対応する機会が多い慢性腎不全については手術など外科的に対応できる病気ではないため、早期発見・早期治療が重要になっていきます。慢性腎不全の初期では臨床症状を示さないことが多いため、当院では積極的に定期健診を行い病気の早期発見に努めております。

生殖器系の病気に関しましては特に不妊手術を行っていない高齢の子に対して積極的に診察時に鑑別疾患を行っております。高齢の雄犬に認められる会陰ヘルニアや肛門周囲腫瘍・前立腺疾患・精巣腫瘍、高齢の雌犬・雌猫に認められる子宮蓄膿症や卵巣腫瘍・子宮疾患・乳腺腫瘍につきましては、その兆候がありましたら積極的に検査を行い診断を行い、必要に応じて手術を提案します。当院では非常に多くの生殖器系疾患に対する手術を実施しております。手術を行わない場合は飼主様と一緒に保存療法・緩和療法を考えていきます。

また当院では最先端の獣医療を提供するため、国内の泌尿器科セミナーにも積極的に参加しております。なお当院では診断・治療困難な症例やCT/MRIなど当院にない機器による精査が必要な症例に関しましては二次診療施設(DVMs動物医療センター横浜・日本獣医生命科学大学・キャミック埼玉など)をご紹介させていただいております。